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​ご挨拶

東京都心を走る電車の車窓から目に映る景色は、その殆どが建物で埋め尽くされており、ともすれば空さえも見えないほどにビルが立ち並び、そこに数百万の人々が行き交う日常があることを、つい忘れがちになります。

 

南海トラフや駿河湾、相模湾、首都直下を震源とする地震の発生確率は2011年の東日本大震災を経てますます高くなり、マグニチュード7程度の地震の30年以内の発生確率は、70%程度(2020年1月24日時点)と予測されています。一旦このような巨大地震が発生すれば高層ビルに限らず、中低層のビルでも外壁タイルやガラスや壁材などが空から降り注いでくる、そんなことを思うと背筋が凍り付くような想いになります。そんな災害を防ぐ上で2011年4月に建築基準法が改正され、国土交通省告示第282号により、公共施設や集合住宅などの特定建築物の外壁は、3年に1度の目視と部分打診による調査に加え、10年に1度の全面打診による調査が義務付けられるようになりました。この15年で10階建て未満の建物の増加率は14.8%であるのに対して、10階建て台は28.2%、20階建て台は32.5%となっており、階数の多いビル・マンションほど増えていることがわかります。築後30年以上経った外壁タイル貼りのビルやマンションで、タイルの落下が各所で発生し、また事前の調査診断によりその剝落落下を防いでいることも事実です。第三者被害を未然に防止するためにも、外壁診断の実行率の向上が強く望まれています。しかし外壁診断の義務化はより厳しくなった一方、労働者人口が減少傾向にあるわが国では、従来の手法のみでは実行率を上げることは困難です。外壁診断は建物の築年数の経過とともに需要の高まりが見込まれており、また一方でビルオーナーやマンション管理者にとってはその費用負担や調査期間中の業務や生活への影響を考え、二の足を踏む情況にあるのではないかとおもいます。

私達ウォールサーベイシステム協会(WSSA)では、その問題を正面から捉え、新たな技術の開発によりビルオーナーやビル管理者、マンション管理者の皆様に寄り添うかたちでこの調査業務を推進していきたいと考え、安全・安心な社会構築の実現に貢献していきます。この先もシステムの機能向上に向けて、弛まぬ努力と技術開発を続けて、専門調査技術を持った点検員が打診音デジタルデータの解析と異常箇所の早期検出および、判定結果を迅速に画像で表現するシステムによりお客様への報告書類も迅速に提供できるように、常に新たな技術開発を加速していきたいと考えています。

安心して見上げる空に明るい明日を、未来を築くために、それが私たちの願いです。

会長​ 脇園 弘康

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